冬澤未都彦木口木版画展

2007.10.20.sat.→10.30.thu.

冬澤さんはかつて、「ガリ版」による本を制作していた。
「ガリグラフィ」と名付けられた作品は、字体やレイアウトはもちろ
ん、製本にまでこだわって作られた、美しい本だった。
その後、長時間の手作業による負担から手を痛めて、ガリ版制作が出来なくなってしまったらしいと聞いた。
以来、気になりながら出会う事のなかった「冬澤未都彦」という名前。
それを十数年経った昨年、一組の木版画とともに再び目にする事になる。
作品は、かつて見たガリ版の面影を残すモノクロの美しい緻密な作品であった。
冬澤さんの仕事場はおびただしい書物に囲まれている。
その中で黙々と細かい線を刻み続ける人は、本を制作していた頃から変わる事なく、
文学を愛し、ユーモアを楽しみ、鋭い観察力とセンスで作品をデザインしてゆく。
カリッと刻まれた線の緊張感とは裏腹に、版画のモチーフがどこか愛らしいのは
作者の人柄によるものであろう。
山形の風土に育まれ、文学や本を愛する純粋な気持ちが、作品全体の美しさを形成していると思う。
今展では、5枚組の木版画や、ガリ版に手彩の作品などを展示します。
どうぞ皆様、是非お出掛けくださいませ。

時:十月二十日 (土)~十月三十日(火)
場所:ギャルリ灰月松本市中央二ー二ー六高美書店二